吸音対策の基本・スピーカーセッティングの正しい方法

適切な吸音対策で反響音を抑えることで、無駄な色付けのない、純粋な音でのモニタリングをすることが可能となります。


音を反射させない

吸音の1番の目的は無駄な反射音を取り除くというものです。
つまりスピーカーセッティングにより、そもそもの反射音を極限まで減らすということが重要です。


この「スピーカー位置を変えるだけ」の効果は、スピーカーを高価なものに買い換えることより効果的で、もし今あなたが新たなスピーカー購入を検討されているのなら、まず以下の方法を試して、実際にその音を確かめてから再検討してみてください。


スピーカーセッティング5か条

  • スピーカーを壁から離す
  • スピーカーと自分の位置を正三角形にする
  • ツイーターと耳の高さを合わせる
  • スピーカーをベタ置きは避ける
  • 環境に合わせてチューニングする

スピーカーを壁から離す

▲スピーカー位置が背面やサイドの壁に近いと、反射音の影響を強く受けてしまい定位がずれて音像がボヤけてしまうばかりか、バッフル効果による低音増強により正しいモニタリングが出来ません。


▲少なくとも壁との距離は30cm以上離してください。


定在波(原音と反射音の交点となる、音のエアーポケットみたいなものです)の影響を避けるため、出来れば「部屋の長さ÷3、5、7、9」のいずれかの位置にスピーカーを置いてください。
(例:長さ3.5mの部屋なら、壁から1.17m、0.7m、0.5m,0.39mのいずれかの位置です)


スピーカーと自分の位置を正三角形にする

▲正しいステレオ感を得るために、左右のスピーカー、リスニングポイントそれぞれの角を、60度で結ぶ正三角形で配置してください。


部屋のサイズが小さくてスピーカまでの距離が近いなら、スピーカーの向きを内向きにして正しい定位感を得れるよう調整してください。 (L-Rの音の交点をリスニングポイントの手前に持ってくるほどの極端な配置でも、良い結果を得られることもあります)


ツイーターと耳の高さを合わせる

▲定位感の高い、中、高域の音が出力されるツイータ部と耳の高さをあわせてください。


高さが足りない場合はブロックでも代用できますが、外観的にも音質的にもスピーカスタンドやスタジオデスクを使用することが望ましいです。


スピーカーをベタ置きは避ける

▲スピーカーは、必ず質量の高いしっかりとした土台の上に、インシュレーターで3点、または4点で配置してください。


ベタ置きしますと、バッフル効果により無意味な低音増強につながり、正しいモニタリングができません。


環境に合わせてチューニングする

上記の第4条を全てクリアしたら、ここからそれぞれの環境に応じて細かなチューニングをしていきます。 というのは、第4条までのセッティングは、あくまで理想的な環境下での条件(完全な左右対称で、遮蔽物も窓もない適度な大きさの部屋)であり、部屋の形や配置などは、皆それぞれ違うからです。


モニターは必ず片方ずつセッティング

LRいずれかのスピーカを切ってから、下記のyoutubeで、「ザー」っというホワイトノイズが再生してください。


スピーカーの位置を変えながらノイズに耳を傾けると、位置や向きによりノイズの音が変化するのが分かると思います。


ノイズの音が、濁りのある「ジャー」からクリアな「サー」に変わる位置が、そのスピーカーのベストポジションです。
(ホワイトノイズは全周波数の音が同時になっています。この作業で全周波数が均一に聞こえる位置を探ります。)

逆側のスピーカーも同じように調整してください。


このチューニングにより、音像の濁りがなくなり、楽器の分離が飛躍的に向上します。


吸音材の貼り付け位置と優先順位

▲吸音シートを貼る位置と優先順位


設置する場所は、もちろんそれぞれの部屋により調整が必須ですが、一応のセオリーとして、
まずは「スピーカのサイドの壁」、
次に「スピーカー後方」、
最後に『リスニングポイントの左右後方」
が効果的とされています。


しかし、これに関しては部屋の大きさや形、また材質や置いてあるものにより大きく変化します。
実際に音を再生してみて、響いてる壁などを一つ一つ調べて、調整していきましょう。


 

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